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内定者フォローの重要性を理解しよう。辞退を防ぐ対策と注意点

社会人としての新生活に向けて、期待と不安が入り混じる新卒内定者は、良くも悪くも心身が不安定になりやすい傾向にあります。社会人経験のある中途採用であっても、実際の入社までは少なからず不安を抱えているものです。場合によっては、入社直前に辞退を考えてしまう人もいるかもしれません。そうした不安を緩和させるために重要なのが、内定者フォローです。

内定日から入社日までの間に、少しでも内定者の不安を取り除き、安心して入社してもらうためには、どのような対策が必要なのでしょうか。内定辞退を防ぐために必要な内定者フォローについて、具体的な方法や注意点をお伝えします。

内定者フォローが重要視されている理由

内定者フォローが重要視されるのは、そもそも人材不足のため採用が難しくなっていることが大きな理由です。加えて、内定辞退者そのものが増加していることも一因でしょう。株式会社ディスコが2017年9月~10月にかけて行った「2018 年卒・新卒採用に関する企業調査-内定動向調査」によると、企業の41.2%が前年と比べて内定辞退者の割合が増加したと回答しています。

2021年以降、就活ルールが撤廃されることもあり、就職活動はこれまで以上に早い時期に始まる可能性が考えられます。そうなれば、内定を出す時期も早まり、入社日までの期間が長期化するでしょう。企業側は、早期内定者を維持するために、入社日まで心変わりやモチベーション低下を起こさないよう対策を講じなければなりません。

新人研修SNS「エアリーフレッシャーズ」を運営するEDGE株式会社の調査によると、経団連加盟企業による選考開始時期が8月1日から6月1日に変更された初年度にあたる2017年に、内定辞退者は6月をピークに9月ごろまで多く発生しました。内々定を出した直後にもっとも多く辞退者が出たのです。中途採用においても、優秀な人材は複数社から内定を受けている可能性が高いため、しっかりとフォローアップしておかないと辞退されてしまう可能性があります。効果的な内定者フォローを行うためには、内定者が感じている不安や悩みを知ることが大切です。そこで、主な内定者の悩みを見てみましょう。

  • 内定先に対する不安
    「研修や交流会で、同僚になる予定の他参加者と親しめなかった」、「会社自体の雰囲気になじめない気がする」、「内定を承諾したものの、会社の将来性に不安を感じるようになった」など、具体的な理由から漠然とした理由まで含め、内定先で働く将来に対する不安がある。
  • 学生から社会人になることへの不安
    特に新卒の内定者において、学生から社会人になり大きく生活が変わることに対して、適応できるのか不安になる。
  • 内定を辞退したほかの会社のほうがよかったのではといった不安
    すでに辞退した企業に未練を感じてしまう、複数の内々定に対して正しい判断ができたのかと後になって悩んでしまう。漠然とした不安から、先に辞退した企業のほうが良く見えてしまう。また、内定後であっても、別の求人募集を見て目移りしてしまう、など。

内定辞退を考える人材の多くは、漠然としたイメージから不安を募らせてしまいます。こうした不安は、情報提供やフォローアップ連絡を行うことで解消させることが可能です。企業側からアプローチをして、内定者との信頼関係を築くための施策を取り入れましょう。

内定者フォローの具体的な施策と注意点

一般的に、内定者が入社にいたるまでには、「内々定の告知」、「内定決定のための面談」、「内定者懇親会」、「内定式」、「入社前研修」といった行事があります。それぞれの期間において定期的に連絡を入れ、コミュニケーションを絶やさないことが大切です。先述した調査結果にもあるように、内定を出した直後に辞退されるケースが多いため、内定決定直後からフォローアップを開始するのが望ましいでしょう。

では、具体的にどういった内定者フォローを行っていけばよいのでしょうか。施策実施のポイントと注意点をまとめました。

  • 内々定の告知
    内々定告知後のフォローアップで重要なのは、「内定予定者が自社にとって非常に重要な人材である」、「大きな期待を寄せている」といった過度な表現は控えることです。特に新卒者にとっては、そうした期待がかえって重圧となる場合もあるため、「歓迎している」といった軽い表現で伝えるとよいでしょう。
  • 内定決定のための面談
    内定決定は書面で伝えるだけでなく、あらためて面談を行い、直接口頭で伝えるとよいでしょう。面談時に直接、内定を祝福したうえで、今後の具体的なスケジュールを提示します。この時点で、内定承諾書を渡すことも忘れてはなりません。面談で内定決定を伝えられたうえで、書面にサインをすれば、入社への気持ちが高まるでしょう。ただし、その場でサインを求めたり、提出をせかしたりしないように注意しましょう。
  • 内定者懇親会
    内定者のモチベーションを持続させる方法のひとつに、同期の仲間をつくることが挙げられます。ただし、懇親会を開いても、疎外感を持たせるような状況をつくってしまうと、かえって辞退につながる可能性があります。内定者同士で話しやすい雰囲気をつくり、ひとりでいる内定者を見つけたらすかさず声をかけるといった対応で、孤立させない工夫をしましょう。ただし、強引すぎるコミュニケーションや、むりやり仲間をつくらせようとするのも好ましくありません。相手の意思や思いを尊重して、懇親会を進行させましょう。
  • 内定式
    内定式では、社内の雰囲気や職場環境を確認してもらうと同時に、代表や役員などから企業の風土やミッションといった指針を伝えることで入社への意識を高める工夫が必要です。また、内定書の交付も行い、すでに社の一員であることをイメージさせましょう。このときも、一方的に話を伝えるのではなく、質問を受けたり、直接話しかけたりするといったコミュニケーションを重視して進行することが大切です。
  • 入社前研修
    内定者は、入社後に担当する業務内容や職場環境について不安を感じがちです。そのため、入社前研修においては、できるだけ現場の人材を講師とし、生の声を伝えていくとよいでしょう。先述した調査結果では、内定決定直後以外に、入社直前での辞退も増えています。この時期の辞退を防ぐため、できるだけ内定者の状況に近い入社1~3年目の社員を講師に迎えるのも一案です。研修は、内定者の不安や疑問を解消できる時間にしましょう。

タイミング別に内定者フォローのポイントをお伝えしました。このほか、時期にかかわらず行いたいフォローとして、次のような施策を取り入れるとよいでしょう。

  • メールや電話での個別対応
    内定者によって悩む内容や時期が異なります。一律で行う対応では、個人の悩みを拾えない可能性もあるでしょう。状況に応じて企業側から個別に声をかけることも有効です。
  • 内定者と採用担当者専用のSNSをつくる
    一部の採用担当者だけですべての内定者を個別にフォローアップするのは難しいものです。そこで、内定者と採用担当者専用のSNSを設置し、不安や悩みを伝えられる場所をつくるのもよいでしょう。直接連絡できるツールがあることで、内定者の変化に気づきやすくなります、
  • 内定者をアルバイトとして受け入れる
    職場環境が許せば、入社前から内定者をアルバイトとして受け入れるのもよいでしょう。仕事や職場の雰囲気に慣れてもらうことができると同時に、内定者の特性を見分ける良い機会となります。入社後の人事もスムーズに進められるといった利点もあり、内定者と直接コミュニケーションをとる機会が増えるでしょう。

内定者フォローの基本は「不安を取り除くこと」

優秀な人材の確保が難しくなっている昨今において、内定者に辞退されることなく、入社まで高いモチベーションを維持してもらうためには、こまめなフォローアップが欠かせません。新卒はもちろんのこと、中途採用者は即戦力が期待できる人材ほど、複数の内定を受けている可能性があり、辞退のリスクも上がります。たとえ入社までの期間が短くても、定期的に連絡をとり、一緒に働けることを楽しみにしている旨を伝えることが重要です。

内定者フォローでもっとも必要なことは、内定者の不安を取り除くことです。ただし、内定者すべてが同じ悩みを抱えているわけではありません。内定者一人ひとりに寄りそいながら、それぞれに応じたフォローアップを行っていくことが、内定辞退を防止する最善の策といえるでしょう。

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