健康経営は人材確保につながる?実例や導入のコツを紹介
健康経営を導入すると人材確保につながるのだろうか、実際にどのようなメリットがあるかと疑問を持っていませんか?
この記事では、健康経営の概要から人材確保につながった実例などを紹介します。人材確保で健康経営について取り組むポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
健康経営とは|人材確保につながる理由
健康経営とは、従業員の健康状態を経営的な戦略として管理する方法です。働いてくれる社員の健康に投資して、人材の確保や組織の活性化を図ります。
また、生産性の向上などにもつながり、業績がアップすると期待されています。
健康経営が人材確保の方法として注目される背景
健康経営が人材確保の方法として注目される理由は2つあります。
- 健康経営を実践できている企業の離職率が低い
- 学生や転職希望者へのアピールになる
健康経営に取り組んでいる企業の離職率が低い点です。経済産業省が発表したデータによると、全国平均の離職率が10.7%でした。しかし、健康経営の調査アンケートに回答した企業は5%と、約2倍の差 があったようです。
従業員が健康に働ける企業は、病気や怪我による離職が減る傾向にあります。健康経営をすれば従業員満足度が向上し、在籍年数が増えるでしょう。
学生や転職希望者へのアピールになる点が注目されています。入社後も健康で充実した生活をイメージしやすく、求職者からは魅力的に見えやすいです。
健康経営の取り組みを検討している中小企業は多い
「健康経営を実施したい」と考えている中小企業はたくさんあります。東京商工会議所が2019年1月に発表したアンケート結果は以下の通りです。
いずれ実施したいと考えている中小企業は約54%と、半分以上を占めます。ほかは実施している・もしくは実践予定がある企業で約30%、実践できない・必要だと思わないと回答した企業が約16%でした。
経営戦略として検討している企業は多いです。すぐに実施できない場合は、実例やデータ集めなどから始めるのがよいでしょう。
健康経営で人材確保につながった実例
健康経営で人材確保につながった事例を2つ紹介します。
- 草津温泉ホテルヴィレッジ
- 豊国工業株式会社
続けて、草津温泉ホテルヴィレッジの例から紹介します。「他社で実践している内容を自社で取り入れられないか」と考えながら読み進めましょう。
草津温泉ホテルヴィレッジの例
草津ホテルヴィレッジは健康経営に取り組んだ結果、新卒の応募者が約10倍に増えました。主な健康経営の取り組み内容は以下のとおりです。
- 1食250円で提供する社員食堂の設置
- ホテルから徒歩5分圏内の社員寮の用意
- 休館日数の拡大
草津温泉ホテルヴィレッジでは、1食250円の社員食堂を設置して、栄養バランスの良い食事を摂取できる環境を整えました。深夜・早朝勤務もあるため、昼夜休日問わず利用できるのも1つのポイントです。
また、徒歩5分以内の社員寮を使える点も大きいです。不規則な生活になっても、十分な睡眠時間を確保しやすくしています。
休館日も増やしたため、有給取得率は業界平均より37%も高く なりました。
健康経営を実施した結果、2022年度の新卒の応募者は大幅に増えています。また、転職で業界経験者が遠方から引っ越してくるパターンもあるようです。
豊国工業株式会社の例
豊国工業では、大卒就職者の3年以内の離職率が高止まりしている課題があり、離職率を現象させる目標を持って健康経営に取り組みました。
- メンター制度による若手社員のサポート
- 若手社員を対象とした階層別研修
- レクリエーションイベントの実施
取り組みを実施した2021年は、入社3年以内の若手社員の離職が0人になりました。上手く人材確保につながっているといえるでしょう。
「従業員間のコミュニケーションの促進」は、健康経営とは直接結びつかないように思えます。しかし、メンタル面のケアとして健康経営に含まれます。
やみくもにコミュニケーションを増やすのではなく、目的を持って健康経営の戦略として取り入れている良い例です。
健康経営で人材確保する以外のメリット
健康経営における人材確保以外のメリットは以下の3つがあります。
- 投資効率が良い
- 従業員の生産性が向上する
- 企業イメージが上がる
続けて、それぞれの内容について解説します。
投資効率が良い
実は、健康経営は投資効率が良いです。ヘルスケア関連商品のメーカー「ジョンソン・エンド・ジョンソン」の調査では、健康経営に投資した3倍ものリターンが見込める と試算されています。
データによると、リターンとしては以下のような効果があるようです。投資の回収は長期的に見ていますが、どの企業も取り組める経営投資であるのは間違いありません。メリットを確認して、ぜひ導入を検討しましょう。
従業員の生産性が向上する
従業員の生産性が向上するのも健康経営のメリットです。身体・精神の両面で健康だと、モチベーションがアップするため、業務効率が上がります。
病気や怪我で欠勤になるリスクが減るため、作業スピード以外の観点でも生産性の向上が期待できるでしょう。
企業イメージが上がる
健康経営に関する取り組みをアピールすると、応募者が増える可能性があります。しっかりと従業員の健康に配慮して経営ができていると判断され、求職者からのイメージがよくなります。
生産性が向上して業績アップにもつながりやすいため、安定した経営をしている会社と見られやすいのも魅力です。上場企業の場合は、安定して株価が上がっていると安心して就職できます。
健康経営に取り組んだ結果、業績が伸びます。勤続年数も長くなれば、企業のイメージはとても良くなるでしょう。
健康経営の認定制度
企業の健康経営を客観化できる制度として「健康経営優良法人認定制度・健康経営銘柄」があります。その取得方法と類似の認定制度についてこの章で確認しましょう。
健康経営優良法人認定制度・健康経営銘柄
経済産業省が選定した健康経営優良法人認定制度は、非常に有名です。まず、健康経営に取り組む場合は「健康経営優良法人」の認定を目標にするとよいでしょう。
健康経営で優秀な企業については、さらに良い認定を受けられます。大企業の場合は「ホワイト500」、中小企業の場合は「ブライト500」 という名称が認定に付与されます。
健康経営銘柄は、東京証券取引所に上場している企業が対象です。上場企業は認定をぜひ目指してみましょう。
また、その他にも健康経営にもつながる認定制度がいくつかありますので、ここでご紹介します。
- 安全衛生優良企業公表制度
- くるみんマーク
- えるぼし認定
安全衛生優良企業公表制度
安全衛生優良企業は、厚生労働省が公表した認定です。労働者の安全や健康を確保する取り組みを積極的に実施・改善している企業が該当します。
認定されるには、申請が必要です。健康保持増進の対策以外にも幅広い分野での取り組みの実施が必要なため、検討する場合は厚生労働省のページで一度確認しましょう。
くるみんマーク
くるみんマークは「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けるともらえます。種類は以下の3つです。
- トライくるみんマーク
- くるみんマーク
- プラチナくるみんマーク
取り組みを始める場合は、トライくるみんマークの取得から考えましょう。最も良いのがプラチナくるみんマークです。認定を目指す場合は、目的と認定基準を踏まえて計画をしてください。
えるぼし認定
えるぼし認定は女性活躍推進法の一環として導入されました。一定の基準を満たして、申請すると厚生労働大臣から認定をもらえます。
えるぼし認定・プラチナえるぼし認定の2つがあります。女性のメンタル面を考慮する点では健康経営につながる取り組みといえるでしょう。
人材確保で健康経営を導入するコツ
人材確保で健康経営を導入するポイントは以下の3つあります。
- 経営理念に沿って導入する
- 組織構造と合った実施内容にする
- 計画・実行・評価・改善を繰り返す
健康経営は、経営戦略の1つであるため、理念に沿って運用しましょう。また、会社組織はそれぞれで異なるため、他社の取り組みをそのまま真似するのではなく、カスタマイズして導入するのがおすすめです。
最後に、計画・実行・評価・改善を繰り返しましょう。見直して改善すれば、健康経営の取り組みがより良いものとして継続します。
まとめ
健康経営と採用に興味を持っている方は、人材確保につながると感じられたかと思います。しかし、すぐに健康経営を実践するのは難しいかもしれません。
もし、採用で「何をすれば効率的に人材確保できるかわからない」とお困りなら、「採用の窓口」に相談するのがおすすめです。
人材採用の戦略から、採用媒体・転職エージェントの活用などさまざまな方法で採用できます。ぜひ一度お問い合わせください。